「やっほー。こないだはゴメンね! ほんとだったらあたしが案内するはずだったのに。しかも、代わりにあたしがネオポリス案内されるっておかしくない?」
「いいんじゃない。ルーさんはネオポリスのことも知ってるみたいだし、頼んでくれたのはアルトなんだから」
「ちょっと腑に落ちないけど、んー、いっか。ルーさんはイロハの西側は案内してないみたいだし、そこはあたしが案内するよ。……まあ未発表だし、いつになるか分かんないけどさ」
「え、ええと、じゃあそのうちお願いしようかな」
「まかせて! で、毎回思うけどさ。ピカピカのキラキラでいっぱいで眩しいよ、ネオ・ガイアポリスって」
「ガイアポリスへ行くのはこの橋だけだから、結構人も多いんだよね。まずは、北西の道に行こう」
「それはこの先を右に曲がったところだよね。この先まっすぐだと港だっけ?」
「そう。ガイアポリスは商業港だけど、ネオポリスにはカーゴポートと軍港があるわ。そっち行っても海だし、右に曲がろう」
「あ、この道って…… 右の最初を曲がるとネオポリス大通り、二番目を曲がった先に新都記念公園があったよね」
「うん。そこ奥まで行くと、オークフィールズ住宅街。ここからだとあっち、北東にあるわ」
「あの、近寄りがたい高級住宅街かぁ。エルマーエナジープラント社の創業者邸宅とかあるんだもんね」
「別にそばを通るくらいなら、なんてこともないって。あ、そうそう、この道を進むと左手にセントラルコートが見えてくるわ」
「ああ。連邦評議会ビルとか、政府の施設が固まってるところね。あそこの北の敷地もなんか、近寄りがたくて」
「えーと、評議員の官邸? まあ、あそこは普段からちょっと物々しいけど。それより私はあっちのビルの屋上、上って見れたらなあって思うんだけど。50階建てだっけ?」
「あのねえ、カロネ。あそこは軍本部ビルでしょ。無理だって。昔の普通のビルだった時ならともかくさ」
「あれ? 最初から軍本部のビルとして建てられたんじゃないの?」
「昔は情報産業のオフィスビル。もっとも、150年近く昔の話だったかなあ」
「そっか。共和国軍って、第六次世界大戦終結のときに編成されたんだった。じゃあ遷都からの約30年は、あんなとこに民間のビルがそびえてたわけね」
「まあ、そんなロマンを感じるのもいいかもしれないけどさ。やっぱりあたしには大学と、たまにモールでお買い物するくらいがちょうどいいよ」
「それはもったいないと思うけど。ライブラリーとか、使えるところも沢山あるんだし」
「あ、それ忘れてた。でもやっぱり、あたしにはガイアポリスの方が落ち着くなー」
「アルトは構えすぎなのよ。お礼兼ねて奢るから、ネオポリス大通りでお茶ね」
「ちょっ、ちょっとカロネ! その辺りは敷居が高いんだってば!!」
「ファー・イースト・カフェは、雰囲気素敵なんだから。愚痴は後で彼氏にしてね」