「やほ。こんにちはー」
「……どうも。別に、案内なんてよかったんだけど。ガイアポリスなら何度か出かけたことあるから」
「そう仰らずに。住むとなったらいろいろ違いますしー、今まで見落としてた部分があるかもしれませんしー? というわけで、予習と復習をかねてご案内しますよー。フリートやアーセイさんにも頼まれましたし、やっぱり女の子の一人暮らしだとガイアポリスじゃ注意しなきゃいけないことありますんで?」
「……わかった。お願いします」
「はいはいー、了解です。とりあえず、まずは移動しましょうか? さてはて、カロネ嬢はガイアポリスの由来や歴史をどれだけご存じですかな?」
「え…… ガイア連邦共和国建国から、今から約110年前のガイア歴470年までの首都で、遷都の原因は448年頃から番外地に難民や失業者が住み着き治安が悪くなったこと、でしょ」
「うんうん、正解。あの頃はすでに南北アメリカ大陸にあったコルンとタウラビアが閉鎖されて60年ほど経っていたからね。番外地はガイアポリス外縁部無計画に増設された商業区で、今は完全にスラム街になってて危ないから近寄っちゃだめだよー」
「分かっています」
「まー、まずはそんな恐いことはおいておいて、ガイアポリスはネオ・ガイアポリスが自然発生的に発展していったのと違って、計画都市として建設さたのですよん。特徴としては、なんといってもワールドアクシス・パークを中心に放射状にのびる6本のストリート。ガイアポリスは各地の文化を反映させるように作られたわけですが、ストリートはその核、顔となっていたわけです。それぞれテーマがあって、昔々はそれにそった施設ばかり並んでたらしいけど、さすがに今はもうそんな縛りなくなっちゃってますね」
「ガイアポリスって古い建物が多くて、まだまだ建国当時の面影があるって思うんだけど」
「ん、そだね。でも当時はきっともっと箱庭っぽくておもしろかったんじゃないかって、そう思っちゃうんだよね。まあ、今こうなってるのも、治安が回復して活気が戻ってきてることなんだって、歓迎しなきゃいけませんな」
「今は治安、大丈夫なんでしょ。恐い思いとか、したことあるの?」
「んー。犯罪発生率をネオポリスと比べちゃうとかわいそうなぐらいですし、ネオポリスよりは緊張感が必要だとは思いますよ。ほら。例えば、ガイアポリスは世界的な貿易港がありますし」
「ああ、あの商業港。確か、世界中の商社のほとんどは、ガイアポリスに本社を置いていたはずだよね」
「そ。おんなじよーに、怪しーい物品を扱っている、怪しーい人たちなんかも……」
「…………」
「あっはっは。恐いことに巻き込まれないためにも、いろいろお話しながらご案内しますよー」