「さて、イロハストリートの東隣のここは……」
「ベイジンストリート。この通りはシノニアの大陸の東にあった文化で、北京といわれていた場所を元にしているんでしょ」
「そう、正解です。名前に所縁を感じるのか、シノニア系の人も見かけるよね。ところで、北京についてはどれくらいご存じかな?」
「西暦代に首都が置かれていた、というくらいは。年代によって国家は別だったみたいね」
「えーっと…… 西暦1300年代後半から1400年代初頭あたりに明の永楽帝という王様が国都と定めたときからの呼び名みたいだね。それ以前だと…… ケイ、エンケイ、タイト、ペーピンなんて呼ばれてたみたい。ははあ、さすがに文明の歴史が長いだけあるよね。あ、西暦1600年代ごろはペキンと発音していたみたいですよ?」
「……。ちょっと待って。今調べたよね? そんな風には見えなかったけど、絶対調べてたよね?」
「あっはっは。このモノクルは秘密兵器なのですよん。それはそーと、さっきのイロハストリートもそうだけど、ここも東洋系の文化を残すことを目的としていたわけです。2つは多いと思うんだけどねー」
「西洋建築なんて見慣れているし、一つのところにいろいろ並べても外観ごちゃごちゃするだけだから、計画を変更したんじゃなかったっけ?」
「あー、そういう話もあったみたいだね。どっちも東アジアってのはいかがなものかというのが、俺の個人的な意見なのですよ。まあひとまずそんな歴史の話は終わりにして、ちょっと脇を覗いてみましょうか」
「あ。ここ、マーケット?」
「ぴんぽん。ネオポリスのモールもあれでいいですけどね。ここの市場はちょっとマニアックなものまでそろってますので、見ているだけでも楽しめること請け合いです。とはいえ、フツーの日々のお買いものなら、いろはストリートの方がそろってますよん」
「そう、みたいね。ここの通りは飲み屋や雑貨店の看板が多いみたいだし」
「日が落ちると活気が出てくるのですよ。で、ここの通りで俺が気に入ってるお店がひとつあるんだよねー。エルズ雑貨店です」
「エルズ、って、確か、さっきのパーツショップと同じ名前?」
「そうそう。昔はこっちでパーツも売ってたんですよん。お店の中はいろいろごちゃごちゃ並んでて飽きないんですよー、変なものがいっぱいありますし」
「はあ」
「まー、うん。君の趣味じゃないかもね。さて、このベイジンストリートをまっすぐ進みますと、ワールドアクシス・パークで行き止まりになりまーす」