「お嬢さんをバスに押し込み、俺が歩くは貧民街、ですよ。というかなんで実況リポートせにゃならんのですかねえ、フリート君」
「やだなあ。ルー氏も受けた後で苦情言わないでよ。ちょっと気になるってだけなのに」
「ま、もう細かいこと言いませんが。フリッツが貧民…… うんにゃ、番外地で知ってるのは?」
「一般的なとこかな。一つ、旧首都の南側、ローズクオーツストリートの奥がそう呼ばれてる。二つ、最近も暴動があって、どういうわけか首都防衛軍とどっかの自治区の軍隊が出張ってた。ああ、噂じゃURCのアジトがあったとかなんとか…… あとは、ならず者が住み着いて、ギャングのアジトがあるイメージかな」
「番外地ができた理由と、貧民街になった経緯は?」
「えーと、あー、いつごろできたかは忘れたな。昔は商業施設が並んでたんだろ。始まりは自然発生的で無計画な開発だったはず。これだけ聞くとネオポリスと大差なく聞こえるのにな。元々ローズクオーツの辺りは何度も浄化政策とっていて、昔からガラはよくなさそう。少なくとも新都に移るときにはスラム街になって話だね」
「コルン、タウラビアの2自治区閉鎖にしろ、ケープ閉鎖にしろ、直轄区もだいぶ難民受け入れたからねえ」
「それはあくまで一つの要因だろ。それより、ほんとにこんな時間に歩いてるの? 大丈夫なの?」
「人には勧めないですねえ。昼間でも身なりには気を付けないと。ネオポリスに馴染む格好じゃ、獲物同然ですよ」
「ああ、もう雰囲気わかったし、いいよ。ありがとうございました。帰ってゆっくりして……」
「ですねえ。じゃあローズクオーツのガンショップにでも寄って帰りますよ」
「すみませんっ、酒おごりますのでさっさと帰ってきてください!」