「ここがマクスウェルアベニューです。ここは建国からしばらく経ってからできた、当初の都市計画ではなかった道なんですよん。さて。ストリートとアベニューですが、この使い分けは…… カロネ嬢なら知っていそうだね?」
「地図で見た限りでは、公園へ続く道はストリート、ストリートと交差する道はアベニューになってるみたいね」
「そうそう。このマクスウェルアベニューはさっきのイロハストリートと比べて下町風情があふれていて、俺の好きな通りの1つなんだよね。んでもって、ハッカーにとっても大事な通りでもあるんですよ。というわけで、お店をご案内してきましょー。まずは、ここ。Ωダイバーズギルドです。世界で唯一ここにしかありません。今のところ」
「今のところ?」
「やー。大陸で支店やりたいって言ってる人もいるみたいなんだけどねー。簡単じゃあないんでしょうな。あ、ここでやってるのは、データサルベージの依頼の受付とダイバーへの斡旋のほか、ダイビング中に使えるアイテムなんかも売ってますよん。たぶん、仕事を受けなくても来る機会はあるんじゃないかな? ってわけで、次へいきましょうか」
「え、入らないの?」
「やー、もうしばらく仕事受けたくないですしねー……」
「はあ。別にいいけど…… でも細い路地に落書きなんかあって、あんまり治安よくなさそうね……」
「あー、でも、以前よりだいぶよくなってますよん。遷都した頃はもっとひどかったって噂ですし。このあたりはそこまで犯罪率高くはないんですよ。さて、続いて見えてきましたのはエルズ・パーツショップです。新しいものから古いものまでいろいろあって、機械のカスタマイズ自分でできるようになってきたら、店にいるだけでけっこうおもしろいんですよ、ここ。まあ、まずは演算ユニットだとかの買い換えくらいにしか足を運ばないだろうけどね。中入ってみますか?」
「えっと、今回はいいです。たぶん、パーツを買い換えるときはついてきてもらわないと、私だけじゃ分かりそうにないから……」
「ほい、了解。じゃあまたそのときにでも説明しますよん。でまあ、ここで交差してる太い通りがベイジンストリートです。んで、後でここを曲がるのですが、あともうちょっとだけマクスウェルアベニューを直進しますよー。ほら、あそこに見えるのが各種レーダーを扱ってるお店です」
「ピリ・レイス……? 西暦代の、地図製作者の?」
「たぶん、それでしょうな。ここはねー、いつも孫娘のアリスちゃんが店番してるんだけど、まだまだ幼い感じでかわいいんだよね。ここではレーダーのメンテナンスもしてくれるから、場所は覚えておいた方がいいですよー」
「分かった」
「ここも中はパスでいいかな?」
「そうね。たぶん、いちいち中に入ってたら、今日で全部まわりきれないでしょ」
「あっはっは。確かにそうです。ガイアポリスも広いからね。では、さっきの角を曲がりましょー」